9. 旅行の意味(随時更新)

 なぜ旅行を続けるのか?

 (2023.6.8)

 旅行は楽しいことばかりではありません。旅行が長くなると体力的にもつらい日もありますし、面白くないことも普通に起こります。もちろん相応のお金と時間がかかります。そんな中、長距離の電車やバスの車窓から外を眺めながら、そろそろ家でのんびりゆっくりしたいなと思うこともあります。旅行から帰宅して「やっぱり家が一番」と言うのは「やすとも」の漫才のネタでもあったような気がしますが(要確認)、そんな旅行を繰り返しているうちに最近「『死ぬ』というのは家に帰るような感じなのかな」という気がしてきました。もっとも、それまでに痛い思いやつらい思いはしたくないものですが、最終的にはそういうことかな等と思うことがあるのです。

高城剛は「アイデアは移動距離に比例する」という表現をしていますが、上記のような感覚は移動を重ねることからわいてきたインスピレーションかもしれません。

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 仕事でしばしば出張していました。特に勤務先の国際部門に20年ほど在籍していたので、その間に海外駐在が延12年。日本から海外拠点への出張もおそらく70回か80回くらいしたのではないかと思います。システム、事務の仕事をしていたので、プロジェクトものが多く、一回の出張が1ヶ月以上ということもよくありました。そんな中で思ったのは、「スーツケース一つの荷物で結構生活はしていけるものなんだなあ」ということでした。通信環境のめざましい進化やネット上のサービスの発展、さらにはノートPCの軽量化、価格低下もあり、持ち物も随分小型軽量化してきました。

 家に帰れば、なかなか処分できないあれやこれやがあふれていたのですが、ある時期からまず蔵書とアルバム、ビデオを処分していく方向に転換しました。本を何百冊も売り払い、アメリカに駐在していた際に買い貯めたVHSのビデオも何百巻を一気に処分してしまいました。本は一部はスキャン(いわゆる自炊)してみましたが、労多い割りにほとんど見返すことはないので、あまり得策とは思えませんでした。電子化という意味では、Kindleで電子書籍で持っている方がまだ活用できました。(一方で電子書籍でこれはと思う本は、一部紙でも改めて買って手もとにおくということもあります。余談ながら電子書籍で読む場合と紙の本で読む場合では理解の仕方が違うという話も聞いたことがありますがどうなんでしょうね。)

 そもそも住んでいる家が極めて狭いので、いやおうなしに物を減らす必要があるのですが、まだまだミニマリストというにはほど遠いながら、一時に比べるとかなり身の回りの物が減っているのは良いことだと思っています。旅行を通じて「必要なもの」を丁寧に選んでいくという楽しみもあるかもしれません。

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2023.6.9

 2009年に転職しました。それまで20年ほど海外との関わりが深い仕事をしていたのですが、新しい会社は国際業務とは全く無縁だったので、気分的にも盛り上がらない感じがありました。そこで、個人的になんとか海外との関わりを持っておくことができないかと考え、いろいろな国のビザについて随分長い時間をかけて調べました。

 そうこうしているうちに2011年に東日本大震災が発生し、「生活する場の選択肢を増やす」ということも考え、最終的にマレーシアのMM2Hというビザを取得することにしました。これは10年間有効で、滞在期間の制限はなく、出入国自由という極めて柔軟な内容で(現役のサラリーマンにとってはこれは大きなポイントでした)、かつ必要なデポジットなどの条件も日本のサラリーマンでもやりくりできる範囲だったので、手続きに結構時間がかかりましたが、2012年にようやくビザを取得しました。

 考えてみると、これまで海外がらみの仕事に長く携わってきた経験があるというものの、それは全て「会社」からの指示や手厚いバックアップがあったものでした。その意味では「自分の考えで自分のお金で」海外のビザを取得するという経験は大きな経験として自信にもなりました。ビザはマレーシアに限定したものですが、自分で取得したビザで自由に行き来できる開放感は何者にも代えがたいものでした。ちなみにMM2Hはその後条件が一気に厳しくなり、現在は新規取得のハードルが結構高くなってしまいましたが、手もとのビザの10年目の更新は「すべりこみセーフ」という状況で間にあいました。(この手続きもコロナ禍の中でなかなか大変だったので経緯については別に整理しておきたいと思います。)

(続く)